「ない仕事」のつくり方——誰もやっていないことに、価値はある
「え?そんな仕事、聞いたことないよ」
そう言われた瞬間こそが、チャンスの始まり。
就職活動をしていると、「安定した仕事」「有名な企業」「人に自慢できる職種」といった“正解”に引き寄せられてしまうこと、ありませんか?
でも、世の中に本当に“正解”ってあるのでしょうか?
むしろ、「正解がまだないところ」に、自分だけの未来があるのかもしれません。
今回は、”ゆるキャラ”や”マイブーム”の名付け親として知られるみうらじゅんさんの仕事術から、「ない仕事」を生み出すヒントを探っていきます。
「ゼロ」から始めるということ
A+B=Cの発想
みうらさんの代表的な発明のひとつが、「ゆるキャラ」という言葉。
彼は、A+B=ABではなく、A+B=Cになるように組み合わせると話します。
そして、AかBのどちらかは、もう片方を打ち消すような“ネガティブな要素”を持つことがコツ。
たとえば、可愛いキャラクター(A)と、着ぐるみで動きにくいという欠点(B)を組み合わせたとき、**「なんか変だけど癒される」キャラクター(C)**が生まれます。
これが、「ゆるキャラ」です。
つまり、ネガティブを含んだ違和感こそが、唯一無二の価値を生むということ。
「好き」は後から育ててもいい
みうらさんは、自分の興味の対象を「大量に集めること」から始めたといいます。
最初から「大好き!」と思っていたわけではありません。
集めているうちに、その世界に詳しくなり、他の人より圧倒的に知識が増えていく。
そしてある日、「あれ?これって仕事になるかも」と気づく。
「好きだから集める」のではなく、集めているうちに好きになる。
この逆転の発想が、自分だけの“仕事”を生み出す原動力になっているのです。
「ブーム」は、誤解から始まる
世の中にブームが起きるとき、そこには共通点があります。
それは、「誤解」が広がっていること。
みうらさんはこう言います。
「ブームっていうのは、“勝手に独自の意見を言い出す人”が増えたときに生まれる」
つまり、最初から「これはこういうものです!」と定義づけてしまうと、人は興味を持たない。
一方で、「これ、なんだろう?」「自分なりにこう解釈していいのかな」と感じられる“余白”があると、人はそのコンテンツに自分を重ね始めます。
「ゆるキャラ」も、最初から定義を決めなかったからこそ、それぞれの地域やファンが自由に解釈できた。だからこそ、全国に広がったのです。
「ない仕事」を作る技術
マイナスに名前をつけてみる
多くの人が「プラス」なものからアイデアを探そうとします。
でも、みうらさんはあえて「マイナス」から入る。
たとえば、「ダサい」「古い」「誰も見向きしない」——そんなものに、あえて名前をつけてみる。
すると、ネガティブがポジティブに変わる瞬間が生まれる。
「つまらない」を「味がある」と言い換えるだけで、人の見方が変わる。
私たちは、名前によって物事を捉え直すことができるのです。
ネーミングは“あだ名”くらいでちょうどいい
流行る言葉には共通点があります。
それは、「マイナスを感じさせる安心感」と、「ちょっと失礼なくらいの破壊力」。
たとえば、学生時代に友達同士で先生につけた“あだ名”。
ちょっと悪意があって、でもみんなが覚えてしまうような名前。
「上司に怒られるかも?」くらいのギリギリのネーミングこそが、人の記憶に残る。
広告コピーのように“いい言葉”を並べるよりも、少し毒のある言葉のほうが、人の心には刺さるのです。
「一人電通」になれ
自分の企画を通したいなら、ただ才能だけでは足りません。
みうらさんは、自分で企画し、営業し、飲みに誘い、関係性を築いていきました。
まさに、「一人電通」。
「おごってくれるって分かってても、レジの前では財布を出すふりをする」
こんな細かい気配りすら、仕事の一部。
どんなに酔っても、敬語は忘れない。
そうした**“接待力”が、最終的にチャンスを引き寄せる**のです。
チームを組むという発想
自分ひとりでできることには限界があります。
大切なのは、自分と違うタイプの人と手を組むこと。
異能の人たちが横並びで集まることで、想像を超えたものが生まれる。
全部自分でやろうとせず、信頼できる仲間と一緒に進む。
それが、「ない仕事」を現実のものにする最短ルートなのです。
「ない仕事」は、つくっていい
みうらじゅんさんの話を聞いて、私はこう感じました。
「好きなことを自由にやっているように見える人ほど、実は綿密に考えて、動いている」
世の中には、まだ名前のついていない仕事が、無限にあります。
そこに気づき、ネーミングし、発信する。
誰もやっていないことだからこそ、競争相手もいない。
「好きなことを仕事にしたい」
「自分にしかできないことをやりたい」
そう思っているあなたへ。
「ない仕事」は、あなたがつくっていい。
まとめ:あなたの“変”が、武器になる
就活の面接で、「変わってるね」と言われたことはありませんか?
それ、実は最高の褒め言葉かもしれません。
だって、「変わってる」ってことは、
他の誰にもできないことができる人ということだから。
みうらさんの仕事術は、そんな“変”を武器にする方法でした。
- ネガティブからアイデアを生む
- 名前をつけて世に出す
- 接待力でチャンスをつかむ
- 異能でチームをつくる
就活という「正解」を探す旅の中で、ふと立ち止まって考えてみてください。
「私の“変”って、なんだろう?」
その答えが、まだこの世にない仕事の、第一歩になるかもしれません。