「そんな資格、いらないでしょ」から始まった話
「そんないらないよね、その資格」
そう言われたのは、なんと資格を1000個以上持っている資格コンサルタントに対してだった。冗談交じりに、しかし少しだけ本気で笑いが漏れた瞬間——。
でも、その一言の裏には、大きな問いが隠れている気がした。
「資格って、ほんとうに役に立つの?」
学生が資格を取ろうとするとき、それは不安の裏返しだ。就活に有利なのか、将来食べていけるのか、自分に合っているのか。実は、資格って思っている以上に“掛け算”なのだ。
今回は、「就活に効く資格」から、「一生食べるのに困らない資格」、さらには“意味のない資格”まで、専門家たちのリアルな声をもとに深掘りしていく。
就活でも資格って必要?その前に立ちはだかるリアル
あるアナウンサーが語っていた。
「コーヒーが好きで、ドリップマスターの資格を取ったんです。あと、食品衛生責任者も。でも、就活でどこまでアピールになるのかはわからなくて…」
資格への興味はある。でも、時間もお金もかかる。その投資に見合う価値があるのか、悩む人は多い。
ここで、資格を1000個以上持ち、年間80個の試験を受けてきた鈴木さんと、就活支援のプロであるケトさんの対談が始まった。
「掛け算になる資格」とは何か
まず語られたのは、「掛け算としての資格」の重要性。
「アナウンサー×IT資格」「販売職×中小企業診断士」
——資格は、自分のキャラやキャリアに“+α”の魅力を加えるんです。
一見、無関係に見えるスキル同士が重なることで、唯一無二の価値になる。
たとえば、AIやITに縁がなさそうな職種の人が、ITパスポートや基本情報技術者を取ることで、「この人、時代を見据えてるな」と思われることもある。
学生が知るべき「一生食べるのに困らない資格」ランキング
第1位:宅建士(宅地建物取引士)
勉強時間:約400時間/合格率:約18.6%
この資格は、不動産会社に必ず一定数配置しなければならない“必須人材”だ。
副業としても成立しやすく、リモートで説明するだけで1回3000円ほどの収入が得られるという話も。
「私の義理の母は、55歳で宅建を取って就職。今も60代で働いています」
体力を問わず、年齢に関係なく長く続けられるのが宅建の強みだ。
第2位:賃貸不動産経営管理士
勉強時間:約300時間/合格率:約24%
宅建が「契約前」の手続きに関わるなら、こちらは「契約後」の管理業務に関わる。
200戸以上管理する不動産会社には、有資格者の配置が義務づけられており、こちらも需要が高まっている。
第3位:普通自動車第二種免許(タクシー運転手など)
タクシー業界も今、稼げる仕事の1つとして注目されている。
「うまくやれば、月収50〜60万円も可能」
「勉強時間も40時間ほどで、合格率は約54%」
AIやロボットにはできない、“人との信頼関係”がモノを言う仕事だ。
「ビジネススキルを底上げする資格」5選
ビジネスパーソンに必要なスキルを育てる資格はこちら。
1. 中小企業診断士
経営・マーケ・法務・会計など、ビジネス全体を網羅的に学べる国家資格。
起業したい人にも、転職や独立を考える人にも、まさに「日本版MBA」と呼ばれる存在。
「補助金のコンサルもできるし、起業支援の相談員としても活躍できます」
2. 簿記2級以上
会社の財務諸表を読める力は、あらゆる業界で重宝される。
3. 基本情報技術者/ITパスポート
「文系だけど、ITに触れておきたい」という人に最適。
基礎的なIT知識を証明できるこの資格は、今やビジネスの常識とも言える。
4. ビジネス実務法務検定
コンプライアンス、契約、個人情報保護など、社会人として知っておくべき法律知識が身につく。
5. ファイナンシャル・プランナー(FP)
税金、保険、投資、相続などの知識が得られる。
マネーリテラシーの向上は、どんな職種でも役立つ“最強の教養”だ。
就活生が「取るべき資格」と「取らなくていい資格」
学生が取っておくべき2つの資格
- TOEIC730点以上
→国内大手企業で評価されるスコアライン。 - 志望業界に直結する資格
→例:不動産→宅建、金融→簿記やFP、IT→基本情報技術者など。
「本気度を証明するには“資格”が最も説得力ある手段です」
取ってもアピールにならない資格とは?
- 秘書検定3級
- カラーコーディネーター
- アスリートフードマイスター3級
- MOS(WordやExcel)
「これらはスキルの証明ではなく、“趣味でやった”印象が強くなりがち」
もちろん、無駄とは言わない。でも、履歴書の資格欄はアピール欄でもある。
「全部書けばいい」という考えではなく、「戦略的に書く」ことが大事。
資格の“落とし穴”にも注意
資格は魅力的だけれど、学生が陥りがちな罠もある。
「資格に時間をかけすぎて、他の経験ができなくなる」
例えば、ある学生は簿記に挑戦したけど不合格。その経験を通じて「自分には向いていない」と気づき、他の活動にシフトした。
それも立派な“自己分析”になる。
資格を取ることで得られる、4つの本質的メリット
- 業界研究になる
→その業界で求められるスキルが明確になる。 - 自己分析が深まる
→自分に合っているかどうかを体感できる。 - スキルアピールになる
→TOEICや業界資格で熱意を伝えられる。 - 精神的に前向きになれる
→「これだけ努力した」という事実が自信に。
まとめ:「何を取るか」より「どう活かすか」
資格の話になると、つい「どれを取れば就活で有利か?」と考えてしまう。
でも、本質はそこではない。
資格とは、自分を深く知る手段であり、未来の自分への“投資”である。
資格があることで、選択肢は確実に増える。でも、それ以上に大事なのは、それを通じて自分が何を目指すのかを知ること。
今、時間のある学生時代。「将来に投資する」経験として、1つだけでも挑戦してみてはいかがでしょうか。
【おまけ】この記事に出てきた「注目資格」一覧
資格名 | 特徴 |
---|---|
宅地建物取引士(宅建) | 不動産業界の必須資格。副業や高齢期でも活躍できる。 |
賃貸不動産経営管理士 | 賃貸物件の管理業務に必須。ニーズが拡大中。 |
中小企業診断士 | 経営知識のプロ。独立・起業・コンサルにも強い。 |
基本情報技術者 | ITの基礎を幅広くカバー。文系でも挑戦可。 |
TOEIC 730点以上 | 就活では最低限欲しいライン。800以上でトップ企業も狙える。 |
ファイナンシャル・プランナー(FP) | 資産形成・保険・相続などお金の教養が身につく。 |
少しでも気になる資格があったなら、調べてみるだけでも前進です。「なんとなく不安」で終わらせず、行動に移すこと。それがあなたの未来をつくります。