スマホに奪われた毎日を取り戻す──就活中こそ読みたい時間術

「あれ、もうこんな時間?」

気づけば夜。バイトから帰って、スマホを見て、気になるニュースを読み、SNSをチェック。いつの間にか日付が変わっている──そんな経験、ありませんか?

レポートをやるつもりで机に向かったのに、スマホの通知に反応して、気がつけばYouTubeで「猫の面白動画」から「歴史解説動画」に流れ、そしてなぜか「世界の不思議スポット」までたどり着いていた。

気づいたら2時間。あの時間は、もう二度と戻ってこないんですよね。

今回ご紹介する『とっぱらう──自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』は、そんな私たちの「時間泥棒」を一刀両断する一冊です。

もともとは2019年に『時間術大全』として出版され、多くのビジネスパーソンの支持を集めた本。それが新装版として生まれ変わりました。


時間を奪う2つの正体

著者は元GoogleやYouTubeのデザインリーダーたち。彼らは、時間を失う原因を**「多忙中毒」と「無限の泉」**の二つに整理しています。

  • 多忙中毒:とにかく予定を詰め、効率化し、反応し続ける働き方
  • 無限の泉:スマホアプリやSNS、動画サイトなど、終わりのないコンテンツ

言われてみれば、就活中の学生もこの2つの罠に陥りやすいです。

「ESを出さなきゃ」「面接準備しなきゃ」と焦る一方で、スマホの誘惑に時間を吸い取られる。結果、何も進んでいないように感じて落ち込む──これが典型的なパターンです。

著者はこう断言します。

「あなたの時間の9割はデフォルトで決まっている」

つまり、意識しない限り、私たちは既存のルール(反応・効率・詰め込み)に従って動いてしまうのです。


「メイクタイム」の4ステップ

この本の核心は、「自分の時間をつくる」ための4つの行動です。

  1. ハイライト:その日、何を最優先するか決める
  2. レーザー:気を散らすものを徹底的に排除する
  3. チャージ:身体を整え、脳を充電する
  4. チューニング:日々のやり方を改善していく

就活で言えば、今日のハイライトは「志望動機を仕上げる」かもしれませんし、「自己分析を深める」かもしれません。

ポイントは、それを必ず予定表に書き込むこと。「時間があったらやる」では、スマホがその隙間を奪ってしまいます。


スマホを“気が散らない”相棒にする方法

一番インパクトがあるのは、「気が散らないiPhone」の作り方。
著者が提案するのは、思い切った措置です。

  • ソーシャル系アプリを削除
  • その他の「無限の泉」アプリも削除
  • メールアカウントを削除
  • ウェブブラウザを無効化
  • 必要最低限の機能だけ残す

ある読者はこれを実践して、スマホ使用時間が1日2時間半減ったそうです。

就活中にこの時間があれば、自己PRを3本はブラッシュアップできます。

最初は怖いですが、「削除」ボタンを押す瞬間が、未来の自分への投資になるかもしれません。


学び:時間をつくるのは意志力ではなく仕組み

多くの人は「意志が弱いからスマホをやめられない」と考えますが、著者は真逆のことを言います。

「問題は意志力ではなく、仕組みだ」

つまり、意志力で誘惑に抗うのではなく、そもそも誘惑が目に入らないようにする。

これは就活にも通じます。

面接準備をする環境をあらかじめ整えておくほうが、気合いを入れるより効果的です。


まとめ:未来の自分のために“とっぱらう”

この本が教えてくれるのは、「何をやるか」ではなく、「何をやらないか」を決める重要性です。

就活も同じです。

企業研究やエントリーは大切ですが、その前に時間を確保する環境づくりが必要です。SNSの通知を切るだけで、集中力が桁違いに上がります。

もし今、「時間が足りない」と感じているなら、この本を読んで一度立ち止まってみてください。

もしかすると、本当に必要なのは、予定を増やすことではなく、時間泥棒を“とっぱらう”ことかもしれません。