転職の軸があいまいなままだと、以下のような失敗を招くリスクがあります。
① 転職活動で迷走する
どんな求人が良いか分からず、手当たり次第に応募してしまう。
書類も面接も、話がバラバラになってしまい、結果的に通過率が下がる。
② 面接で落ち続ける
志望理由や転職理由を聞かれても、一貫性がない。
相手に「この人、本当にうちで働きたいのかな?」と疑問を持たれる。
③ 転職後に後悔する
入社してみたら、「あれ、思ってたのと違う…」
やりたい仕事じゃなかった、職場の雰囲気が合わなかった、など。
どれもよくある話ですが、共通しているのは「転職の軸が曖昧だったこと」。
そもそも転職とは?軸とは?
転職とは、「自分の人生のありたい姿を叶えるための手段」です。
つまり、目的ではなく「手段」だということ。
そして転職の軸とは、自分の人生の指針や、選択の判断基準です。
将来どう生きていきたいのか。そのために今、どんな環境を選ぶべきか。
それを言語化したものが、あなたにとっての「軸」なのです。
転職の軸を定める3ステップ
では、具体的にどうやって転職の軸を定めていけばいいのか。
ここでは、実際の転職支援現場でも活用されている3ステップをご紹介します。
STEP 1:現状の悩みを言語化する
まずは、「なぜ転職したいのか?」を明確にすることから始めます。
この時、次の3つの視点で考えると整理しやすくなります。
- スキルの悩み: 新しい専門知識が身につかない、顧客と直接関われない…
- マインドの悩み: 会社の理念に共感できない、熱量が持てない…
- 環境の悩み: 労働環境が非効率、勤務地が希望と違う…
具体的な例として、
「営業職だけど、扱っている商材に魅力を感じない」
「成長スピードが遅く、昇進の見込みが見えない」
「全国転勤があるが、地元から離れたくない」など。
ここで大事なのは、「不満を掘り下げる」ことではなく、「本当に大切にしたい価値観をあぶり出す」こと。
STEP 2:将来の「ありたい姿」を描く
現状の悩みを整理できたら、次にやるのは未来を描くことです。
ポイントは次の2つのアプローチを使うこと:
① 現状の悩みを裏返す
例:
- 「今は年収が低い」→「3年以内に年収800万円を目指す」
- 「出張が多くて家庭を大事にできない」→「地元で腰を据えて働きたい」
② 理想の未来から逆算する
例:
- 「35歳までに企画職に就いていたい」
- 「40歳までに自分のプロダクトを世に出したい」
- 「子どもと過ごす時間を大事にしたい」など
この未来像をより具体的にするためにおすすめなのが、「SMARTの法則」です。
SMARTの法則で未来を具体化する
観点 | 内容 |
---|---|
S(Specific) | 具体的か? |
M(Measurable) | 測定可能か? |
A(Achievable) | 達成可能か? |
R(Relevant) | 自分の価値観と関連しているか? |
T(Time-bound) | 期限が決まっているか? |
例:
×「年収を上げたい」
◎「営業職で3年以内に年収800万円を達成する」
理想は理想。でも、理想を言語化できるからこそ、そこに近づくキャリア戦略が立てられます。
STEP 3:転職の軸を優先度で整理する
最後のステップでは、STEP2で言語化した理想の姿の中から、
転職の軸を「高・中・低」の3段階で分類していきます。
■ 高:絶対に譲れない軸
例:年収、勤務地、商材へのこだわり など
■ 中:できれば叶えたい軸
例:成長できる環境、社内の風通し、職場の文化 など
■ 低:今回は優先しなくてもよい軸
例:ワークライフバランス(将来優先するかも) など
この優先度を整理することで、転職先を選ぶ判断基準が明確になります。
転職の軸を持つことで得られる3つのメリット
- 転職活動に一貫性が生まれる
志望理由がブレず、面接でも説得力を持てるようになる。 - 求人選びで迷わない
軸を満たすかどうかで選別できるので、判断に迷いがなくなる。 - 入社後の後悔が減る
本当に大切にしたい価値観に沿った選択ができるため、納得感が持てる。
転職の軸が決まらないときの対処法
「ありたい姿」がなかなか描けない人は、こんな方法を試してみてください。
① ロールモデルを探す
YouTubeやSNSで、あなたが「こうなりたい」と思える人を見つけましょう。
② 「なりたくない姿」から逆算する
「もう営業はやりたくない」「毎日終電はイヤ」
そういったネガティブな思いから、自分に合った環境を逆算してみるのも有効です。