「今までの武器で登ってきた山の次に、もう一つ新しい山を作りに行く」
この言葉が、いま多くの40代ビジネスパーソンの胸に響いています。
「40歳を過ぎたら転職は難しい」「キャリアはもう変えられない」
そんな思い込みを、いま私たちは見直す時期に来ているのかもしれません。
40歳からのキャリアにチャンスはあるのか?
「転職するなら35歳まで」
昔から言われてきたこの常識、今でも信じている人は多いかもしれません。
でも、実はそれ――もう古い話です。
現在では40歳を超えても転職を実現する人は確実に増えています。しかも、その多くが企業から「即戦力」として期待され、実際に活躍しているのです。
転職支援サービス関係者もこう語ります。
「40代の転職が珍しい時代は、もう終わりつつあります」
変わる転職市場。今、企業が求めているのは?
企業がミドル層を積極的に採用するようになった背景には、転職市場そのものの変化があります。
過去30年の中で、日本の転職市場は大きく3つのフェーズに分けられると転職支援サービス関係者は言います。
第1フェーズ(2005年頃〜)
- バブル崩壊後の組織構成是正期
- 就職氷河期で採用できなかった若手の補充
- 「中途採用」がようやく一般化し始めた時代
第2フェーズ(2012年頃〜)
- スマホ・SNS・フィンテックなど新しい産業の登場
- 若手に限らず「新しい事業をつくる人材」が必要に
- 業界未経験でもスキルがあればOKという流動性の高まり
第3フェーズ(2020年〜)
- コロナを機に、働き方や価値観そのものが変化
- DX(デジタル変革)や人的資本経営などの新テーマに挑む企業が増加
- 多様な専門性や経験を持つ40代が必要とされている
つまり、今は人材不足の時代であり、変革が求められる時代でもある。
だからこそ、豊富な経験と柔軟な視点を持つミドル層に、注目が集まっているのです。
「即戦力」って、本当に100%経験者だけの話?
「即戦力」と聞くと、「すぐに成果を出さなきゃ」と焦る人も多いかもしれません。
でも、転職支援サービス関係者はこう断言します。
「即戦力=経験をすべて活かすことだと思われがちですが、今は違います」
実際、50%はこれまでの経験を活かし、残りの50%は新しいことに挑戦しているという転職者も多いそうです。
企業もまた、「全部できる人」ではなく、「これから育っていける人」に期待を寄せているのです。
40代はキャリアの“転換点”──データで見るリアル
実は、40代のキャリア観には大きな転換点があります。
【42.5歳】
- 出世意欲が下がり始める年齢
- 「上を目指す」よりも「自分らしい働き方」を重視する傾向が強まる
【45歳】
- キャリアの終わりを意識し始める年齢
- 「これまでの経験をどう活かせるか」「残りの時間で何がしたいか」を考え始める
こうした心境の変化は、転職を考えるうえで非常に重要です。
なぜなら、モチベーションの源泉が“出世”から“自己実現”へと移るからです。
専門性がない?それでもミドル層には可能性がある理由
「いろいろやってきたけど、自分には“これ”という専門性がない」
これは大企業のミドル層に多い悩みの一つです。
でも実際には、
明確な専門性があることも強み
さまざまな仕事を経験してきたことも強み
と捉えるのが、今の市場のスタンダードです。
例えば、営業、企画、内部統制、DX推進など、過去の業務の中には企業が求めるスキルがたくさん隠れています。
その「気づき」が自分の価値を明確にしてくれるのです。
「転職活動」は“棚卸し”から始めよう
転職支援サービス関係者はこう語ります。
「キャリアを可視化して、言語化すること。これが転職の第一歩です」
たとえ今すぐ転職しなくても、自分の強み、興味、将来やりたいことを見直すことは、あらゆるキャリアの土台になります。
それは社内での異動や昇進、副業への挑戦などにもつながっていくからです。
ハイクラス転職の「誤解」と「本当」
「ハイクラス転職」という言葉には、どこか敷居の高さを感じる人も多いでしょう。
ですが、実態はこんな感じです。
ハイクラス転職の“誤解”
- 年収1,000万円以上の人だけが対象
- 経験が100%活かせないと無理
- スカウトされないとできない
ハイクラス転職の“本当”
- 年収600万〜1,200万が目安
- 半分は新しい挑戦でもOK
- 自分から動いて成功する人が増えている
実際、40代の転職成功例が増加中。その多くが、自分で求人を探し、自分の意思でキャリアを変えていった人たちです。
「カルチャーフィット」が転職成功のカギになる
多くの転職者が苦労するのが、スキルよりも「カルチャーの違い」。
特にスタートアップや外資系、異業種への転職では、この“空気感”への適応が問われます。
「一度、過去の成功体験や肩書を横に置いて、新人のつもりで吸収する」
これが転職初期の鉄則だと転職支援サービス関係者は語ります。
自分を一度“まっさら”に戻して、ゼロから学び直す姿勢が、新たな信頼と成長を生むのです。
40代は、むしろ「キャリアの始まり」かもしれない
この講演を通じて伝わってきたのは、40代という年齢がキャリアの終わりではなく、
「自分らしく働く」ための、新たな出発点になり得る
という強いメッセージでした。
実際、ITや金融、コンサル、DXなどの分野では、ミドル層の経験と判断力が非常に重宝されています。
しかも、企業側のニーズはあるのに、本人の「挑戦する意欲」が不足しているというギャップすらあるのです。
今までの山を降り、新たな山へ登る準備をしよう
「今までの武器で登ってきた山の次に、もう一つ新しい山を作りに行く」
この言葉のとおり、40代はキャリアを再定義するチャンスです。
- 自分を見つめ直す
- 経験を棚卸しする
- 転職や副業、学び直しといった「変化」に挑む
それができた時、きっとあなたのキャリアは想像以上に広がっていくはずです。
まとめ:40代の転職は、「変化をつくる」ための選択
転職は必ずしもゴールではありません。
むしろ、自分の意思で「変化をつくる」ための手段なのです。
いま、ミドル層は大きなチャンスを迎えています。
必要なのは「すべてを完璧にやれる自信」ではなく、変化に飛び込む勇気と、自分を棚卸しする素直さ。
あなたのキャリアは、これからでも何度だって形を変えられます。
40歳からのキャリア、面白くなってきましたよ。